伝統ある古き良き陶器

陶器の染付け 材料と技法

様々な陶器

日本のみならず、中国でも行なわれている陶芸技法のひとつである陶器の染付けでは白色の胎土で形を作った素地のうえに酸化コバルトを主原料にした絵の具で模様を描き、その上から透明釉薬を掛けていきます。陶器の染付け技法の発祥は9世紀ごろの唐時代の後期といわれており、酸化コバルトの顔料は元時代の河南省で生まれました。

当初はベトナム・朝鮮に伝えられ、日本には17世紀中期にオランダ商人によって長崎県に伝わり伊万里焼として日本で陶器が作られたのが最初です。日本に伝わってから独自の染付けがおこなわれるようになり、磁土を一度素焼きしてから石青と呉須と呼ばれる材料を複合させて図柄を描きそのうえから透明釉薬掛けて再度陶器を焼きます。二度の窯入れをすることで長期間、色が褪せることもなく顔料の滲みを緩和する働きがありますが手間」が掛かるため現在では伊万里焼でしか見かけない技法になってしまいました。

なお、用いる顔料の種類は酸化鉄・コバルト・亜鉛など鉱物を必ず含ませていますが、これらは燃焼反応を起こして様々な色を表現できるために好まれて使用されています。近年は洋絵の具のみで絵付けをおこない、1度焼きししかしない陶器も見受けられます。