日本の陶器ブランド「美濃焼」
美濃焼は岐阜県の東濃地方で生産されている陶器の総称で、有田焼や信楽焼、備前焼のような日本を代表する陶器ブランドのひとつです。東濃地方の各地域によって「織部」「志野」「黄瀬戸」「瀬戸黒」など様々な種類が生産されており、日本の伝統工芸品に15種類ほど指定され、その数は国内の陶器生産量日本一を誇っています。美濃焼には古く1300年もの歴史があります。室町時代には、既に東農地方での焼き物作りは盛んになっていました。
その後、素焼きの表面に塗る釉が改良されていき、黄色が特徴の黄瀬戸や黒釉の瀬戸黒が生産されるようになりました。この頃になると戦国大名たちの間で茶の湯が流行し、茶器の生産量が増加していきます。明治以降になると大量生産されるようになり、昭和には陶磁器の国内生産の大部分を占めるようになりました。このように、美濃焼は長い年月をかけて改良され、多種多様な陶器を大量に生産できるようになり、現在の国内生産日本一の地位に至ったのです。
焼き物というと、若い世代ではなかなか手に取りづらいように感じますが、古い歴史を持つ美濃焼も今では現代風にアレンジされたものも生産されるようになり、私たちが親しみやすいモダンなデザインの食器を陶器市などでよく見かけるようになりました。「特徴がないのが特徴」と言われるほどに美濃焼の種類は豊富ですが、そのおかげで和洋中どんな場面でも使用できる焼き物へと進化していったのです。