高級陶器・七宝焼きの歴史と魅力
美しい気品と輝きを放つ七宝焼きは、花瓶や飾り皿・生活雑貨などさまざまな物に使用されているのを目にします。
歴史ある装飾工芸品で、ツタンカーメン王の冠に七宝焼きの技法が取り入れられていたことから、起源はエジプト時代と言われています。日本には、飛鳥・奈良時代にシルクロードを通って伝わり、非常に高価な陶器として大切に扱われましたが、実際に七宝焼きが作られ始めたのは江戸時代になってからです。神社仏閣の釘かくしや武士の刀のツバなどに装飾されました。ただ、広く一般の人たちに知られることはなく、職人や限定された家系のみで世襲されました。
七宝焼きが脚光を浴びるようになったのは明治時代です。万国博覧会に七宝焼きを出品して、世界中からその美しさと繊細さを高く評価されたことから、陶器製造業界が七宝焼きの制作に力を入れるようになり、多くの人々から知られるようになります。
名前の由来は、仏教経典の七つの宝(金・銀・ラピスラズリ・水晶・シャコ貝・メノウ・真珠)と同じくらい美しいことから、七宝と名付けられたと言われています。金属(金・銀・銅など)素地にガラス質のうわぐすりを塗って、1000℃近い温度で焼き上げる七宝焼きは、ちょっとした温度の差やうわぐすりの量の加減で、炉から取り出すと同じ表情になることはありません。
近年は、フェラーリなどのエンブレムや勲章にも使用され、世界中の人たちから幸運を運ぶ陶器として愛されています。